2016

宇宙のスピーカー | A Universal Speaker

Graduation Work

宇宙のスピーカー from shunjisato on Vimeo.


素材:アクリル、スピーカーユニット、マイク、iPad、ヘッドフォン

使用ソフト:Max, Ableton Live


作品概要

スピーカーユニットの向きを本来のスピーカーと逆にした時、中と外の世界が反転して、エンクロージャーは地球全体、宇宙全体を包み込んでいる(梱包している)と考えられる。このスピーカーで再生されるすべての音や音楽はヘッドフォンをしなければ聞こえないほど小さな音量で再生され、宇宙を内包したエンクロージャーを通じてヘッドフォンをつけた鑑賞者の耳に直接届けられる。鑑賞者は耳をヘッドフォンで覆われることで、宇宙の環境音を意識的に聞くことができる。参考作品として赤瀬川原平の「宇宙の缶詰」(1963)があげられる。


音と素材について

「Picture」という音響はサイン波をベースに構成されている。それはマイクが設置されてるスピーカーの「外側」(見た目は内側)に余計なものはなく、混じり気のないもの(Pure=純音)であるため。加えて、あらゆる音は様々な周波数のサイン波の組み合わせで表現できることから(フーリエ変換)、サイン波を音の最小単位とし、巨大な宇宙と対比するかたちで使用した。宇宙の音を表現するため衛星芸術プロジェクトARTSATのテレメトリデータをもとに生成した音が含まれている。INVADER:VOICE(2014)という作品がこの作品の音響を制作する上でのベースとなっている。素材にアクリルを使用したのは純音の混じり気のないという意味から樹脂のなかでも透明度の高いアクリルを選んだ。


音とスピーカーの関係についての考察

スピーカーは本来あらゆる音や音楽の再生を目的とし、特定の音や音楽の再生を目的としないため、スピーカーとスピーカーから発せられる音の関係は希薄だ。そこで、この作品を通じて音とスピーカーの関係をより密接にすることはできないのかという問いが浮上し、このスピーカーのための音をつくるに至った。このスピーカーは宇宙を「内包」している。だからそこから発せられる音も宇宙と関係があるものが相応しいと考え、ARTSATのデータを用いた。今日、音や音楽を生の演奏よりもスピーカーやイヤフォンから聴くことが大半を占める中で、音とスピーカーの関係性を今一度考え直すことで何かに新しい体験が生まれるのではないだろうか。


soundscape

Engineer

テクニカルディレクション担当。


センサー:ロードセル

使用ソフト:Arduino, Processing, Max